ドメインの構造と取得

目次
インターネットを使う際、私たちは通常「google.com」や「yahoo.co.jp」などのドメイン名を入力してウェブサイトにアクセスします。

これらの名前はそのままそのサイトの顔として、覚えられることもあるような重要な識別名です。

この識別名は世界中で重複しないようになっており、ドメインを取得した場合はまさにあなただけの名前となります。

大事なドメイン名について、構造やドメイン名の決まり、世界中で重複しないように取得できるように管理されている仕組みを解説します。

インフラエンジニアとしては、ドメイン名についてどのように管理されており、取得できるのかといった裏側を理解することも大事になります。

ぜひ最後まで読んでいってください。

ドメイン名とは

インターネット上のコンピュータは実際には「IPアドレス」という数字の羅列(例:192.168.1.1)で識別されています。

しかし、この数字は人間にとっては覚えにくいですよね。

そこで登場したのがドメイン名 です。

ドメイン名は人が覚えやすいように文字列で登録することができるため、各Webサイトの管理者毎に自分の色を出したドメイン名を作ることができるのです。

そして、次の章以降で解説する「名前解決」という仕組みにより、Webサイトにおける「住所」のような使い方ができるようになります。

このように通信の目的地として使われ、また、ウェブサイトの代名詞として使われるものがドメイン名です。

ドメイン名の構造

ドメイン名には、一定のルールで構造が決まっております。

例えば、「www.example.co.jp」というドメイン名を見たことがあるでしょう。

こうしたドメイン名には階層構造があります。
ドメイン名は右から左に向かって、より大きな階層から小さな階層へと読み解きます。

ドメイン構造
  • トップレベルドメイン:国や組織の種類を表す
  • セカンドレベルドメイン:組織の種類を表す
  • サードレベルドメイン:組織や個人が登録した固有の名称を表す
  • サブドメイン:特定のサーバーやサービスを指定(利用者が自由に設定可能)

このような階層構造によって、世界中の無数のドメイン名を効率的に管理することができるのです。

各階層のドメインは、それぞれ異なる組織によって管理されています。
例えば、「.jp」は日本レジストリサービス(JPRS)によって管理されています。

以下が代表的なトップレベルドメインとセカンドレベルドメインの管理組織です。

ドメインレベル 管理組織 役割・概要 代表的な例
トップレベルドメイン (TLD) ICANN すべてのTLDの最終的な監督権限を持つ .com, .net, .org, .edu など
IANA (Internet Assigned Numbers Authority) ICANNの一部門として、TLDの割り当て管理を実施 TLDの委任管理
各国のNIC (Network Information Center) 国別コードTLD (ccTLD) の管理 .jp(日本), .uk(イギリス), .de(ドイツ)など
セカンドレベルドメイン Verisign .com と .net の管理・運営 example.com, example.net
Public Interest Registry .org の管理・運営 example.org
JPRS (Japan Registry Services) 日本の .jp ドメインの管理・運営 example.jp, example.co.jp
Nominet イギリスの .uk ドメインの管理・運営 example.co.uk
DENIC ドイツの .de ドメインの管理・運営 example.de

また、サードレベルドメインまでは、世界中で重複がないように払い出しが必要となるため、管理している組織に対して払い出しの依頼が必要となります。

ただし、サブドメイン以降は払い出しを受けた利用者で自由に設定が可能です。

例えば、このサイトでは「se2ls.com」というドメイン名を払い出してもらっています。

サブドメインは自由に利用者で払いだせるので、「test1.se2ls.com」や「sample.se2ls.com」のような名前を適当に作って、Webサイトに割り当てることが可能です。

1つのドメインがあれば、サブドメインで好きなだけ個別のドメインを作ることが可能なのです。

サブドメイン 上記のようにサブドメインを作れば、「コーヒー関連のサイト」、「お茶関連のサイト」、「水関連のサイト」など3つの個別のドメイン名のサイトを作ることができますね。

レジストリ/レジストラ

前の項でドメイン名を管理している組織について説明しました。
ここからは、実際に私達がドメイン名を払いだしてもらい、使用するための仕組みについて説明していきます。

実際に私達がドメイン名を使用するに当たって、レジストリとレジストラという組織が重要になってきます。

レジストリ

レジストリとは、特定のトップレベルドメイン(TLD)の管理・運営を一元的に担う組織です。

インターネットのドメイン名システム(DNS)において中核的な役割を果たしています。

レジストリは、ICANNから特定のTLDの管理権限を委任され、そのTLDにおけるドメイン名の一意性を保証する責任を負っています。

レジストリの主要な役割は、特定のTLDのマスターデータベースを維持管理することです。

例えば、Verisignは「.com」と「.net」のレジストリとして、これらのTLD内のすべてのドメイン名の中央データベースを管理しています。
同様に日本では、JPRSが「.jp」ドメインのレジストリとして機能しています。

つまり、前の項で説明したトップレベルドメインの管理組織ことをレジストリと言います。

レジストリはゾーンファイルと呼ばれる、DNSのルートとなるデータベースを管理し、インターネット上でのドメイン名の解決を可能にしています。

また、Whoisデータベースの運営も担当し、ドメイン名の登録情報を公開する役割も果たします。
Whoisデータベース
Whoisデータベースは、インターネット上のドメイン名やIPアドレスの登録情報を公開するためのシステムです。
このデータベースは、ドメイン名やIPアドレスの所有者、管理者、技術担当者などの連絡先情報を含む公開レジストリとして機能しています。

Whoisデータベースの主な目的は、ドメイン名やIPアドレスに関連する問題が発生したとき、責任者や関係者に連絡するための透明性を確保することです。

例えば、ウェブサイトのコンテンツに関する法的問題、技術的な不具合、あるいはドメイン名の取引交渉などの場面で、関係者を特定し連絡を取るための手段として利用されます。
さらに、レジストリは特定のTLDにおけるドメイン名の登録ポリシーや技術要件を決定する権限も持っています。

レジストリは通常、直接エンドユーザーとのやり取りは行わず、その代わりにレジストラと呼ばれる仲介業者を通じてドメイン名の登録・管理サービスを提供します。
これにより、中央集権的な管理と分散的なサービス提供のバランスをとっています。

レジストリ/レジストラの関係性

レジストラ

レジストラは、一般のインターネットユーザー(個人や企業)に対してドメイン名登録サービスを提供する事業者です。
ICANNの認定を受けたレジストラは、複数のレジストリと契約を結び、さまざまなTLDのドメイン名を提供することができます。

レジストラの主な機能は、ドメイン名の登録プロセスを代行することです。
顧客がドメイン名を登録したいとき、レジストラはそのドメイン名の利用可能性をレジストリのデータベースで確認し、利用可能であれば登録手続きを行います。

また、既存のドメイン名の更新、移管、情報変更などの管理業務も担当します。

レジストラは顧客向けのウェブサイトやカスタマーサポートを運営し、ドメイン名に関する情報提供や技術的な支援も行います。
多くのレジストラは、ドメイン名登録サービスに加えて、ウェブホスティング、メールサービス、SSLサーティフィケートなど、関連するインターネットサービスも提供しています。

競争市場の原理によって、レジストラ間には価格やサービス内容での差別化が生まれています。
GoDaddy、Namecheap、お名前.comなどの大手レジストラから、特定の市場やニーズに特化した小規模レジストラまで、多様な選択肢が存在します。

つまり私達がドメイン名を使用したいとなった場合は、実際に管理を行っているレジストリではなく、代理でドメイン名の登録を行っているレジストラを使用することになります。

DNSサーバとの紐づけ

ドメイン名をレジストラから払い出してもらう際にはDNSサーバとの紐づけが必要となります。

ドメイン名はあくまでも人間が読みやすいように付けたあだ名のようなものです。

ですので、コンピューターがわかるようにドメイン名をIPアドレスという本当の住所に変換する処理が必要となります。

その処理を行ってくれるのが、DNSサーバです。

利用者は払いだしてもらったドメイン名に対して、名前解決の機能を用意する必要があります。

そして、払いだされたドメイン名の名前解決をするDNSサーバは、レジストラ経由でレジストリに登録する必要があるのです。

例えば、「お名前.com」を例にすると以下の画像のように、払いだされたドメインに対する名前解決は指定した2つのDNSサーバで行うと設定しています。

ネームサーバの登録
この設定のおかげて、払いだされたドメインに関する名前解決は、自身が管理するDNSサーバに転送してくれるようになっており、このドメインに対する名前解決が自由に管理できるようになっています。

まとめ

今回は名前解決に関する基礎的な仕組みを理解するためにドメイン名に関して、紹介しました。

ドメイン名は、Webサイトの公開やその他にはメールアドレス等にも使用可能です。

そのサービスの顔となり、ブランドイメージとなることもあります。

実際にドメイン名は、商標とも強く関係してくるため人気なものは高額となることもあります。

2019年には、「Voice.com」というドメイン名が30,000,000ドルで売却された例もあるそうです。

ドメイン名がどれだけ大事なものかわかっていただけたのではないでしょうか?

このサイトでは、技術的な学習を目的としていますが、その技術を使うことでどれだけの商業価値があるかも大事だと考えています。

是非、学習を進めてみてください。