NTPプールの概念


NTPプールとは
NTPプールは複数のNTPサーバーを論理的にグループ化し、DNSラウンドロビンや他の負荷分散技術を使って単一のエンドポイントとして提供する仕組みです。
NTPクライアントでは、複数のNTPサーバから時刻の回答をもらうことで、より高精度な時刻を判断しシステムクロックに設定ができるという特性があります。
この観点から、NTPプールという1つの問い合わせ先を設定するだけで、複数のNTPサーバから応答をもらうことのできるNTPプールは設定の簡易さと冗長性という観点で優れています。
また、技術的な観点からは、NTPプールは基本的にDNSレコードの集合として実装されます。
複数のNTPサーバーのIPアドレスをAレコードのセットとして登録し、 TTL(Time To Live)値を比較的短く設定することで、クライアントがDNS名前解決を行うたびに異なるNTPサーバーに接続する確率を高めます。
企業の内部ネットワークでは、独自のDNSインフラストラクチャを使って「ntp.example.internal」のような名前を複数の内部タイムサーバーにマッピングし、社内用NTPプールを構築できます。
さらに高度な実装では、地理的に分散した拠点を持つ企業の場合、地域ごとにサブプール(asia.ntp.example.internal、europe.ntp.example.internal等)を作成し、ネットワークレイテンシを最小化することも可能です。
別の地域のサブプールは優先度を下げることで、何らかの障害で自分の地域のNTPプールが使えなくなっても、完全に時刻同期ができなくなることはなくなりますので、グローバルな冗長化構成も可能になります。
こうした仕組みにより、組織はセキュリティポリシーに準拠し、インターネットアクセスが制限された環境でも正確な時刻同期を実現できるNTPインフラストラクチャを構築できます。

NTPクライアントでは、複数のNTPサーバから時刻の回答をもらうことで、より高精度な時刻を判断しシステムクロックに設定ができるという特性があります。
この観点から、NTPプールという1つの問い合わせ先を設定するだけで、複数のNTPサーバから応答をもらうことのできるNTPプールは設定の簡易さと冗長性という観点で優れています。
また、技術的な観点からは、NTPプールは基本的にDNSレコードの集合として実装されます。
複数のNTPサーバーのIPアドレスをAレコードのセットとして登録し、 TTL(Time To Live)値を比較的短く設定することで、クライアントがDNS名前解決を行うたびに異なるNTPサーバーに接続する確率を高めます。
企業の内部ネットワークでは、独自のDNSインフラストラクチャを使って「ntp.example.internal」のような名前を複数の内部タイムサーバーにマッピングし、社内用NTPプールを構築できます。
さらに高度な実装では、地理的に分散した拠点を持つ企業の場合、地域ごとにサブプール(asia.ntp.example.internal、europe.ntp.example.internal等)を作成し、ネットワークレイテンシを最小化することも可能です。
別の地域のサブプールは優先度を下げることで、何らかの障害で自分の地域のNTPプールが使えなくなっても、完全に時刻同期ができなくなることはなくなりますので、グローバルな冗長化構成も可能になります。

こうした仕組みにより、組織はセキュリティポリシーに準拠し、インターネットアクセスが制限された環境でも正確な時刻同期を実現できるNTPインフラストラクチャを構築できます。
NTPプールの構成方法
NTPプールを構成するには、DNS基盤と複数のNTPサーバーを組み合わせて実装します。
まず、組織内のDNSサーバーに特定のドメイン名(例えば「ntp.example.com」)を作成し、このドメインに対して複数のNTPサーバーのIPアドレスをAレコードとして登録します。
※CNAMEを利用して、NTPサーバのホスト名で書きたくなりますが、AレコードでないとDNSラウンドロビンが働かないため、AレコードでIPアドレス直接指定が推奨です。
このようにレコードを登録することで、指定したドメイン名のNTPプールが作成できます。
その際、DNSレコードのTTL値を比較的短く設定することで、クライアントが名前解決を行うたびに異なるNTPサーバーアドレスを取得できるようにします。
TTLを短くすると名前解決のキャッシュが早く消えるため、権威DNSサーバへ問い合わせが行われます。
その際にDNSの仕組みとして、一つのドメインに複数のAレコードがある場合、回答する順番がランダムに変更されます。
それによりアクセスするNTPサーバの順番がズレるようになっており、これがDNSラウンドロビンと呼ばれる負荷分散を実現する仕組みです。
地理的に分散した環境では、リージョンごとのサブドメイン(例:「jp.ntp.example.com」や「us.ntp.example.com」)を作成し、それぞれの地域に配置されたNTPサーバーのIPアドレスを対応するサブドメインに関連付けます。
このような地域別の構成により、クライアントは地理的に近いサーバーと通信でき、時刻同期の精度が向上します。
まず、組織内のDNSサーバーに特定のドメイン名(例えば「ntp.example.com」)を作成し、このドメインに対して複数のNTPサーバーのIPアドレスをAレコードとして登録します。
※CNAMEを利用して、NTPサーバのホスト名で書きたくなりますが、AレコードでないとDNSラウンドロビンが働かないため、AレコードでIPアドレス直接指定が推奨です。

このようにレコードを登録することで、指定したドメイン名のNTPプールが作成できます。

その際、DNSレコードのTTL値を比較的短く設定することで、クライアントが名前解決を行うたびに異なるNTPサーバーアドレスを取得できるようにします。
TTLを短くすると名前解決のキャッシュが早く消えるため、権威DNSサーバへ問い合わせが行われます。
その際にDNSの仕組みとして、一つのドメインに複数のAレコードがある場合、回答する順番がランダムに変更されます。
それによりアクセスするNTPサーバの順番がズレるようになっており、これがDNSラウンドロビンと呼ばれる負荷分散を実現する仕組みです。
地理的に分散した環境では、リージョンごとのサブドメイン(例:「jp.ntp.example.com」や「us.ntp.example.com」)を作成し、それぞれの地域に配置されたNTPサーバーのIPアドレスを対応するサブドメインに関連付けます。
このような地域別の構成により、クライアントは地理的に近いサーバーと通信でき、時刻同期の精度が向上します。
公開NTPプールとは
公開NTPプールは、インターネット上の有志により公開されているNTPプールです。
世界中に分散された多数のタイムサーバーのコレクションであり、インターネット上の様々なデバイスに対して正確な時刻同期サービスを提供しています。
このシステムはVolunteer-based projectとして運営されており、 個人や企業が自発的に自分のサーバーをプールに提供することで成り立っています。
NTPプールの主な目的は、Network Time Protocol (NTP)を使用して時刻同期を必要とするクライアントに対して、負荷分散と冗長性を備えた信頼性の高いサービスを提供することです。
クライアントがntp.org等のドメインに接続すると、DNSラウンドロビン方式によって適切なサーバーに振り分けられます。
地理的には大陸別やさらに国別にサブドメイン分けされており、ユーザーは自分の地域に近いサーバーを利用することで、より正確な時刻同期を実現できます。
例えば日本のユーザーは「jp.pool.ntp.org」のようなアドレスを使用することができます。
このプロジェクトは1999年に始まり、現在では数千台のサーバーが参加する規模に成長しており、多くのデバイスメーカーやOSの既定のタイムサーバーとして採用されています。
サービスの信頼性維持のため、参加サーバーは定期的に監視され、パフォーマンスや安定性に問題があるサーバーは一時的にプールから除外される仕組みになっています。
公開されているNTPプールの一覧を載せておきます。
世界中に分散された多数のタイムサーバーのコレクションであり、インターネット上の様々なデバイスに対して正確な時刻同期サービスを提供しています。
このシステムはVolunteer-based projectとして運営されており、 個人や企業が自発的に自分のサーバーをプールに提供することで成り立っています。
NTPプールの主な目的は、Network Time Protocol (NTP)を使用して時刻同期を必要とするクライアントに対して、負荷分散と冗長性を備えた信頼性の高いサービスを提供することです。
クライアントがntp.org等のドメインに接続すると、DNSラウンドロビン方式によって適切なサーバーに振り分けられます。
地理的には大陸別やさらに国別にサブドメイン分けされており、ユーザーは自分の地域に近いサーバーを利用することで、より正確な時刻同期を実現できます。
例えば日本のユーザーは「jp.pool.ntp.org」のようなアドレスを使用することができます。
このプロジェクトは1999年に始まり、現在では数千台のサーバーが参加する規模に成長しており、多くのデバイスメーカーやOSの既定のタイムサーバーとして採用されています。
サービスの信頼性維持のため、参加サーバーは定期的に監視され、パフォーマンスや安定性に問題があるサーバーは一時的にプールから除外される仕組みになっています。
公開されているNTPプールの一覧を載せておきます。
グローバルNTPプール
プール名 | 説明 | 備考 |
---|---|---|
pool.ntp.org | メインNTPプール(世界中のサーバーにランダムにアクセス) | 一般的な使用 |
0.pool.ntp.org 1.pool.ntp.org 2.pool.ntp.org 3.pool.ntp.org |
数字プレフィックス付きのエントリポイント(冗長性のため) | 複数サーバー設定時 |
地域別NTPプール
地域 | プール名 | 備考 |
---|---|---|
北米 | north-america.pool.ntp.org | 北米地域のサーバー群 |
アジア | asia.pool.ntp.org | アジア地域のサーバー群 |
ヨーロッパ | europe.pool.ntp.org | ヨーロッパ地域のサーバー群 |
オセアニア | oceania.pool.ntp.org | オセアニア地域のサーバー群 |
南米 | south-america.pool.ntp.org | 南米地域のサーバー群 |
アフリカ | africa.pool.ntp.org | アフリカ地域のサーバー群 |
国別NTPプール(主要例)
国・地域 | プール名 | 備考 |
---|---|---|
日本 | jp.pool.ntp.org | 日本国内のサーバー |
アメリカ | us.pool.ntp.org | アメリカ国内のサーバー |
ドイツ | de.pool.ntp.org | ドイツ国内のサーバー |
イギリス | uk.pool.ntp.org | イギリス国内のサーバー |
フランス | fr.pool.ntp.org | フランス国内のサーバー |
中国 | cn.pool.ntp.org | 中国国内のサーバー |
オーストラリア | au.pool.ntp.org | オーストラリア国内のサーバー |
その他の公開NTPサービス
サービス名 | アドレス例 | 提供元 | 備考 |
---|---|---|---|
Google Public NTP | time.google.com | グローバルに展開されたGoogleのNTPサービス | |
Cloudflare Time | time.cloudflare.com | Cloudflare | NTS(暗号化NTP)対応 |
NIST Internet Time Service | time.nist.gov | 米国標準技術研究所 | 高精度な原子時計に基づくサービス |
Apple Time | time.apple.com | Apple | 主にApple製品向け |
Microsoft NTP | time.windows.com | Microsoft | 主にMicrosoft製品向け |
NTPサーバとNTPプールの違い
ここまでの説明でなんとなくわかっていると思いますが、NTPサーバとNTPプールの違いは、個々の要素と集合体という違いがあります。
NTPサーバは、Network Time Protocol (NTP)を実装したコンピュータシステムであり、クライアントからの時刻同期リクエストに応答して正確な時刻情報を提供する単一のエンドポイントです。
この単体のサーバは、原子時計や衛星信号など、より正確な時刻源(ストラタム1)から時刻を取得するか、あるいは別のNTPサーバ(ストラタム2以上)から時刻を同期した上で、ネットワーク上のクライアントに時刻サービスを提供します。
一方、NTPプールは複数のNTPサーバを論理的にグループ化し、単一のDNS名を通じてアクセス可能にした仕組みです。
クライアントがプールのDNS名(例:pool.ntp.org)を解決しようとすると、DNSラウンドロビンなどの負荷分散技術により、プールに参加している多数のサーバの中から一つがランダムに選択され、そのIPアドレスがクライアントに返されます。
これにより、多数のクライアントからのリクエストが複数のサーバに分散され、特定のサーバへの負荷集中を防ぎます。
NTPプールの最大の利点は、単一障害点をなくし、全体としての可用性と冗長性を高める点にあります。
一部のサーバが停止しても、プール全体としてのサービスは継続して提供されます。
また、地理的に分散したサーバを含めることで、世界各地のユーザーに対して低レイテンシでの時刻同期を実現できます。
公開NTPプールプロジェクト(pool.ntp.org)は、ボランティアが提供する数千台のサーバによって構成されており、多くのデバイスやシステムのデフォルト時刻源として広く利用されています。
組織内でNTPサービスを構築する場合、通常は複数のNTPサーバを設置し、それらをNTPプールとして構成することで、社内クライアントに対して信頼性の高い時刻同期サービスを提供します。
このように、NTPサーバとNTPプールは、個別の時刻提供装置と、それらをまとめた分散型サービスという関係にあり、相互に補完し合うコンセプトと言えます。

NTPサーバは、Network Time Protocol (NTP)を実装したコンピュータシステムであり、クライアントからの時刻同期リクエストに応答して正確な時刻情報を提供する単一のエンドポイントです。
この単体のサーバは、原子時計や衛星信号など、より正確な時刻源(ストラタム1)から時刻を取得するか、あるいは別のNTPサーバ(ストラタム2以上)から時刻を同期した上で、ネットワーク上のクライアントに時刻サービスを提供します。
一方、NTPプールは複数のNTPサーバを論理的にグループ化し、単一のDNS名を通じてアクセス可能にした仕組みです。
クライアントがプールのDNS名(例:pool.ntp.org)を解決しようとすると、DNSラウンドロビンなどの負荷分散技術により、プールに参加している多数のサーバの中から一つがランダムに選択され、そのIPアドレスがクライアントに返されます。
これにより、多数のクライアントからのリクエストが複数のサーバに分散され、特定のサーバへの負荷集中を防ぎます。
NTPプールの最大の利点は、単一障害点をなくし、全体としての可用性と冗長性を高める点にあります。
一部のサーバが停止しても、プール全体としてのサービスは継続して提供されます。
また、地理的に分散したサーバを含めることで、世界各地のユーザーに対して低レイテンシでの時刻同期を実現できます。
公開NTPプールプロジェクト(pool.ntp.org)は、ボランティアが提供する数千台のサーバによって構成されており、多くのデバイスやシステムのデフォルト時刻源として広く利用されています。
組織内でNTPサービスを構築する場合、通常は複数のNTPサーバを設置し、それらをNTPプールとして構成することで、社内クライアントに対して信頼性の高い時刻同期サービスを提供します。
このように、NTPサーバとNTPプールは、個別の時刻提供装置と、それらをまとめた分散型サービスという関係にあり、相互に補完し合うコンセプトと言えます。
まとめ
NTPプールについて解説してきました。
NTPにより時刻同期は誤差をなくすためにできるだけ多くのNTPサーバを参照することを推奨しています。
そのためにも、NTPサーバを複数台まとめて利用する方式として機能しているものがNTPプールです。
また、世界中には時刻同期をより使いやすくできるように有志にて公開されているNTPプールもご紹介しました。
このようにたくさんの技術者によって、現代のシステムは正常に動作できるようになっているのです。
せっかく公開されているものも知らなければ使うことができませんので、しっかり覚えていきましょう。
NTPにより時刻同期は誤差をなくすためにできるだけ多くのNTPサーバを参照することを推奨しています。
そのためにも、NTPサーバを複数台まとめて利用する方式として機能しているものがNTPプールです。
また、世界中には時刻同期をより使いやすくできるように有志にて公開されているNTPプールもご紹介しました。
このようにたくさんの技術者によって、現代のシステムは正常に動作できるようになっているのです。
せっかく公開されているものも知らなければ使うことができませんので、しっかり覚えていきましょう。