UTCとタイムゾーン

目次

タイムゾーンとは

タイムゾーンは地球上の位置によって時刻を区分けする仕組みです。

地球は24時間かけて自転するため、世界中で同時に同じ時刻を使用することは実用的ではありません。

そのため、地球は経度に沿って複数のタイムゾーンに分けられています。

例えば、日本とアメリカには時差がありますが、このタイムゾーンが関係しております。

基準となるのはイギリスのグリニッジを通る子午線で、ここを中心としたタイムゾーンを協定世界時(UTC)あるいはグリニッジ標準時(GMT)と呼びます。

他の地域はこの基準からの偏差で表されます

UTC/GMT
ただし、タイムゾーンの境界線は必ずしも経度に厳密に従わず、国境や行政区域に合わせて調整されていることが多いです。

また、多くの国では夏時間を採用しており、季節によって時刻を1時間調整することでより効率的に日光を利用しています。

タイムゾーンの理解はグローバルなコミュニケーションや旅行、国際的なビジネスを行う上で重要な要素となっています。

UTCとGMTの違い

UTCとGMTはどちらもイギリスのグリニッジを通る子午線を基準としたタイムゾーンであることには変わりはありませんが、この2つには微妙な違いがあります。

UTCは「協定世界時(Coordinated Universal Time)」で、国際原子時(TAI)をベースにし、うるう秒を加えて地球の自転と同期させた非常に正確な時刻基準です。

これは原子時計に基づいており、科学的・技術的な用途で世界標準として使用されています。

一方、GMTは「グリニッジ標準時(Greenwich Mean Time)」で、もともとはイギリスのグリニッジ天文台での平均太陽時を基準としていました。

歴史的には航海や国際的な時刻基準として使われてきましたが、正確さという意味ではUTCのほうが高精度のため、現在の科学的な文脈ではUTCに置き換えられつつあります。
実用上は、うるう秒の調整を無視すれば、UTCとGMTはほぼ同じ時刻を示します(通常は1秒未満の差)。

日常的な会話では混同されることも多いですが、特に技術文書やシステム設計では、正確性を期すためにUTCが使われます。
UTC/GMTの違い

日本のタイムゾーン(JST)

タイムゾーンは、イギリスのグリニッジ天文台を基準に緯度の差で決定され、日本の標準時は「JST」と呼びます。

JSTは「Japan Standard Time」の略です。

日本標準時(JST)は日本の公式な時間帯で、国際的にはUTC+9と表記されています。

これは協定世界時(UTC)より9時間進んでいることを意味します。

日本標準時は経度135度東(兵庫県明石市付近)を基準としており、明治維新後の1888年に全国で統一されました。

UTC/JST
それ以前は日本各地で異なる時刻が使用されていました。

現在の日本では年間を通して同じ時刻が使用されており、1951年以降は夏時間を採用していません。

この時間帯は日本だけでなく、韓国や北朝鮮などの東アジアの一部の国々でも使用されています。

韓国では同じ時間帯をKST(Korean Standard Time)と呼んでいます。

この標準時は日本の公式時刻として、ビジネス、交通、通信など社会のあらゆる側面で使用されています。

UTCとJSTの変換

UTCとJSTの変換はとても簡単です。

日本標準時(JST)は協定世界時(UTC)よりも9時間進んでいるため、以下の変換方法で計算できます。
JST = UTC + 9時間
逆に、JSTからUTCへの変換は、以下の変換方法で計算できます。
UTC = JST - 9時間

具体例を挙げると、
 UTC 0:00(深夜12時)は JST 9:00(午前9時)
 UTC 12:00(正午)は JST 21:00(午後9時)
 UTC 15:00(午後3時)は JST 0:00(翌日の深夜12時)
となります。

この9時間の差があるため、国際的なオンラインミーティングや世界的なイベントの時間を確認する際には注意が必要です。

日本にいる人がUTC時間で示された予定を確認する場合は9時間足し、逆に日本時間を世界の人に伝える場合は9時間引いて伝えるとよいでしょう。

UTCとJSTの変換表を記載します。

UTC JST 日本時間
00:00 09:00 午前9時
01:00 10:00 午前10時
02:00 11:00 午前11時
03:00 12:00 午後12時(正午)
04:00 13:00 午後1時
05:00 14:00 午後2時
06:00 15:00 午後3時
07:00 16:00 午後4時
08:00 17:00 午後5時
09:00 18:00 午後6時
10:00 19:00 午後7時
11:00 20:00 午後8時
12:00 21:00 午後9時
13:00 22:00 午後10時
14:00 23:00 午後11時
15:00 00:00+1 翌日午前0時(深夜)
16:00 01:00+1 翌日午前1時
17:00 02:00+1 翌日午前2時
18:00 03:00+1 翌日午前3時
19:00 04:00+1 翌日午前4時
20:00 05:00+1 翌日午前5時
21:00 06:00+1 翌日午前6時
22:00 07:00+1 翌日午前7時
23:00 08:00+1 翌日午前8時

まとめ

今回の章では、システムには直接関わりがないような世界の標準時刻について解説しました。

基本的にOS設定にも必ずタイムゾーンの設定がありますので、日本の標準時刻を設定したい場合は「JST」を指定することになります。

また、クラウドサービス等を使用していると、UTCで時刻表記されるものもあります。

このような場合に頭の中で日本時刻に変換する必要が出てくることもあるので、「UTC+9時間」という点を覚えておきましょう。