プライベートIP/パブリックIP

目次
IPアドレスには大きく分けてプライベートIPアドレスパブリックIPアドレスの2種類があります。
この区別を理解することは、ネットワークの仕組みを把握する上で非常に重要です。

プライベートIPアドレス

プライベートIPアドレスは、家庭やオフィス内のLAN(ローカルエリアネットワーク)で使用されるアドレスです。
以下の範囲のIPアドレスがプライベートIPアドレスとして予約されています。
クラスA:
 10.0.0.0/8
 → 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255
クラスB:
 172.16.0.0/12
 → 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255
クラスC:
 192.168.0.0/16
 → 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255

これらのアドレスは誰でも自分のローカルエリアネットワーク(LAN)内で使用することができます。
ただし、インターネットへは直接ルーティングされないため、LANに所属していない端末では通信することができません。

プライベートIPによるインターネット通信不可
なぜインターネットと通信できない?
プライベートIPアドレスの特徴は、誰でも使えるというものです。
つまり、世界中に同じアドレスを使っているサーバやPCが大量にあるということになります。

IPアドレスはネットワーク上での住所となります。
同じ住所の人が大量にいてしまうと送り元が誰かわからなくなってしまいますよね。

なので、インターネットで通信を行う場合はパブリックIPアドレスというものを使うのです。
パブリックIPアドレスはそのアドレスを使っているのは世界中でその端末のみということが保証できるIPアドレスとなります。

プライベートIPアドレスは、主に自宅や社内ネットワーク等で使用されます。
その場合は、LANとして区切られた社内ネットワーク区画内でのみで通信が可能で、プライベートIPアドレスを使用して通信を行います。

仮にインターネット上の端末と通信を行いたい場合は、パブリックIPアドレスというものが必要になります。
プライベートIPアドレスを持つデバイスは、NATやプロキシなどの技術を介して、自分のプライベートIPアドレスをパブリックIPアドレスに変換することでインターネットと直接接続を行っているのです。

パブリックIPアドレス

上述したプライベートIPアドレスと対比して、パブリックIPアドレスはインターネット上で一意に識別されるアドレスです。

他の人と被ることができないIPアドレスとなりますので、自分で勝手に決めることができません。

パブリックIPアドレスはインターネットサービスプロバイダー(ISP)から割り当てられます。
このパブリックIPアドレスを使用することで、インターネット上のどこからでもアクセス可能です。
プライベートIPによるインターネット通信不可
パブリックIPアドレスは、全世界で約43億個あります。
クラスA:
  1.0.0.0 ~ 9.255.255.255
  11.0.0.0 ~ 126.255.255.255
クラスB:
 128.0.0.0 ~ 172.15.255.255
 172.32.0.0 ~ 191.255.255.255
クラスC:
 192.0.0.0 ~ 192.167.255.255
 192.169.0.0 ~ 223.255.255.255
43億個と聞くと大量にあるように思いますが、インターネットにつなぎたい人がそれぞれ1個ずつ使うとすると全然足りていません。
個人で考えてもインターネットに繋げて使うものはたくさんありますよね。
これが会社規模だとどうでしょうか?社員全員のPCをインターネットにつなぐために大量のパブリックIPアドレスが必要になってしまいますね。

パブリックIPの複数利用イメージ
近年では、IPv6という技術により約340澗個まで増やすことが可能になりましたが、今もIPv6を使用する環境は少ないです。

現在で取られている方式としては、家庭やオフィスにおいて1つのパブリックIPアドレスを複数人で共用利用する方法です。
これをNATと呼び、社内システムにおいてほぼ項必須で使われている技術になりますので、次の記事で説明しますね。

プライベートIPアドレスとパブリックIPアドレスの違い

プライベートIPアドレスとパブリックIPアドレスの違いを表で比較してみます。

比較項目 プライベートIPアドレス パブリックIPアドレス
定義 組織や家庭の内部ネットワーク内でのみ使用されるアドレス インターネット上でグローバルに一意な識別子として機能するアドレス
アクセス可能性 同じネットワーク内からのみアクセス可能 インターネット上のどこからでもアクセス可能
アドレス範囲 10.0.0.0 - 10.255.255.255 (10.0.0.0/8)
172.16.0.0 - 172.31.255.255 (172.16.0.0/12)
192.168.0.0 - 192.168.255.255 (192.168.0.0/16)
左記以外のほとんどのIPv4アドレス
(一部の特殊用途のアドレスを除く)
割り当て方法 組織内で自由に割り当て可能 ISPやインターネットレジストリから割り当て
コスト 無料で使用可能 通常は有料(特に固定IPの場合)
セキュリティ 外部から直接アクセスできないため比較的安全 インターネットに公開されるためセキュリティリスクが高い
インターネット接続 不可。
NAT(Network Address Translation)などの技術を使用すれば接続可能
インターネットに直接接続可能
重複使用 異なる組織で同じアドレスを使用可能 世界中で一意である必要がある
主な用途 - 家庭内のデバイス(PC、スマホ、IoT機器)
- 企業内の従業員端末やプリンター
- 内部サーバーやデータベース
- Webサーバー、メールサーバー
- クラウドサービス
- リモートアクセスサーバー

まとめ

この記事では、インフラエンジニアを目指す初学者の方に向けて、プライベートIPアドレスパブリックIPアドレスの違いについて説明しました。
プライベートIPアドレスとパブリックIPアドレスは、システム構築において、切っても切れない知識になります。

インフラエンジニアである以上、確実に設計を行うことになります。
きちんと違いや仕組みを理解して次に進みましょう。