SEにはどんな職種があるの?

目次

システムエンジニアの職種とは

システムエンジニア(SE)の職種は近年どんどんと細分化されています。

テクノロジーの急速な発展により、技術の複雑化が進み、一人のエンジニアがすべての分野を深く理解することが難しくなっているためです。
クラウド、AI、セキュリティなど各分野が高度に専門化し、それぞれに特化したスキルセットが必要になっています。

また、IT技術の活用が進むにつれて、システム開発プロジェクトの規模が大きくなり、多くの人員が関わるようになっています。
システム開発を効率よく進めるために役割を明確に分担する必要があったことも理由の一つです。

そしてこの細分化は、エンジニア自身のキャリアパスを多様化させました。
システムエンジニアは専門性を活かした働き方が可能になったのです。

アプリケーションエンジニア

アプリケーションエンジニアはSEの職種の中でも、特にソフトウェアアプリケーションの設計から開発、実装までを専門とする技術者です。

主な役割はビジネス要件を理解し、実際に動作するソフトウェアソリューションへと変換することにあります。

お客様の要件を分析して、実際にアプリケーションを作るのが僕たちだよ!


アプリケーションエンジニアの業務は多岐にわたります。
まず要件分析の段階では、クライアントやビジネス部門との対話を通じて必要な機能や性能を明確化します。

次に設計フェーズでは、アプリケーションのアーキテクチャやデータモデル、ユーザーインターフェースなどの骨組みを作成します。
この設計に基づいて、実際のプログラミング言語を用いてコードを実装していきます。
JavaC#PythonJavaScriptなど、プロジェクトに適した言語を選択し、開発を進めます。

また、実装後はテストを行い、バグの修正や性能の最適化を行います。
さらに、アプリケーションが本番環境に移行した後も、保守や機能拡張などの対応を行うことがあります。

アプリケーションエンジニア自体も、さらに細分化される傾向にあります。

業務アプリケーションエンジニアは企業内の基幹系システム開発を担当し、Webアプリケーションエンジニアはブラウザベースのアプリケーション開発に特化します。
また、モバイルアプリケーションエンジニアはiOSやAndroidなどのモバイルプラットフォーム向けの開発を行います。
組み込みアプリケーションエンジニアは家電製品や車載システムなどの組み込みソフトウェア開発を担当します。

ITコンサルタント

ITコンサルタントはSEの中でも、技術的な知識とビジネスの理解を融合させた専門職です。
企業のIT戦略策定から実装までの幅広いプロセスで助言や指導を行い、クライアントのビジネス課題をテクノロジーで解決する役割を担っています。

お客様の現状を分析して、業務課題をIT技術で解決するアドバイザーだよ!


ITコンサルタントの主要な職務は、クライアント企業の現状分析から始まります。
ビジネスプロセスやシステム環境を詳細に調査し、課題や改善点を特定します。

その上で、企業の経営目標に合致するIT戦略を策定し、システム導入やデジタルトランスフォーメーション(DX)の具体的なロードマップを提案します。
さらに、提案したソリューションの導入支援やプロジェクト管理、導入後の評価や最適化まで一貫してサポートすることもあります。

ITコンサルタントは専門分野によってさらに細分化されることがあります。

戦略コンサルタントは主に経営層に対して助言を行い、企業全体のIT戦略やデジタル変革の方向性を提案します。
一方、テクニカルコンサルタントは特定の技術領域に特化し、ERPやCRM導入、クラウド移行などの具体的なプロジェクトでの技術的助言に重点を置きます。

また、業界特化型のコンサルタントは金融、製造、小売、医療など特定の業界に関する深い知識を持ち、その業界特有の課題解決に取り組みます。

ITアーキテクト

ITアーキテクトはSEの職種の中でも特に高度な専門性と経験を要する役割です。
システム全体の設計図を描く建築家のような存在であり、技術的な側面とビジネス要件の両方を考慮しながら、情報システムの全体構造を設計します。

幅広いIT技術の知識を活かして、お客様にとって最適なシステム構成を提案するよ!


ITアーキテクトの主要な職務は、企業の情報システムの全体設計を作成することです。

まず、ビジネス目標や要件を深く理解し、それを達成するための技術的な構造や枠組みを考案します。
具体的には、システムのコンポーネント構成、データフロー、インターフェース、セキュリティモデル、拡張性と冗長性の確保など、多岐にわたる設計判断を行います。

これらの設計決定を文書化し、開発チームやステークホルダーに伝えるとともに、実装フェーズでは技術的な指導や助言を提供します。
また、既存システムの評価や改善提案、新技術の導入検討なども重要な役割です。
ITアーキテクトには幅広く深い技術知識が求められます。
プログラミング言語やフレームワーク、データベース設計、ネットワークアーキテクチャ、クラウドコンピューティング、サイバーセキュリティなど、多様な技術領域に精通している必要があります。

同時に、技術選定や設計判断の根拠となるビジネス理解力、コスト意識、リスク管理能力も不可欠です。
さらに、複雑な構想を分かりやすく伝えるコミュニケーション能力や、多様なステークホルダーと協働するためのリーダーシップも求められます。

サーバエンジニア

サーバエンジニアはSEの一種で、企業や組織のITインフラの中核を担うサーバシステムの設計、構築を専門とする技術者です。
ビジネスの基盤となるシステムを支える重要な役割を果たしています。

アプリケーションが動く基盤であるサーバを設計・構築するよ。


サーバエンジニアの主な業務は多岐にわたります。

まず、企業の要件に基づいてサーバ環境の設計を行います。
これには適切なハードウェアやOS、ミドルウェアの選定、サーバの台数や構成、冗長化の方式などを決定することが含まれます。

設計が完了すると、実際のサーバのセットアップや構成作業を行い、必要なソフトウェアのインストールや設定を実施します。

サーバエンジニアには幅広い技術知識が求められます。
WindowsサーバやLinuxなどのOSに関する深い知識はもちろん、仮想化技術、ストレージシステム、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、インフラ全般の理解が必要です。

近年ではクラウド環境の理解も必須となっており、AWS、Azure、GCPなどのクラウドプラットフォームに関する知識も求められています。
また、シェルスクリプトやPowerShellなどの自動化ツールの活用能力、監視ツールやバックアップソフトの運用スキルも重要です。

データベースエンジニア

データベースエンジニアはSEの職種の一つで、企業や組織のデータ管理の核となるデータベースシステムの設計、構築、運用、最適化を専門とする技術者です。
ビジネスの意思決定や日常業務の基盤となる重要なデータ資産を管理する責任を担っています。

データベースはシステムの核!設計・構築は専門家のデータベースエンジニアにお任せを!



データベースエンジニアの主な業務は多岐にわたります。

まず、ビジネス要件と照らし合わせてデータベースの論理設計と物理設計を行います。
これには適切なデータモデルの設計、テーブル構造の定義、索引設計などが含まれます。

設計後は、実際のデータベースシステムの構築を行い、データベース管理システム(DBMS)のインストールや構成、セキュリティ設定などを実施します。
また、データの移行や統合、バックアップと復旧の仕組み作りも重要な職務です。

運用段階では、データベースのパフォーマンス監視とチューニング、容量管理、障害対応、セキュリティ管理などを担当し、システムの安定稼働と最適なパフォーマンスを確保します。 さらに、SQLの作成や最適化、ストアドプロシージャなどのデータベースオブジェクトの開発も行います。

データベースエンジニアには専門的な技術知識が求められます。
Oracle Database、Microsoft SQL Server、MySQL、PostgreSQLなどの主要なRDBMSに関する深い知識はもちろん、NoSQLデータベース(MongoDB、Cassandraなど)や分散データベースシステムに関する理解も近年では重要になっています。

SQLの高度な知識や、データモデリング手法、正規化理論、インデックス戦略などのデータベース設計の基本原則に精通している必要があります。
また、データベースのバックアップと復元、レプリケーション、高可用性構成などの運用技術や、パフォーマンスチューニングの方法論も重要なスキルです。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアはSEの職種の一つで、企業や組織の通信基盤となるネットワークインフラの設計、構築、運用、保守を専門とする技術者です。
ビジネスのデジタル活動を支える重要な役割を担い、安全で信頼性の高い通信環境を提供することに責任を持っています。

システムが使えるのはネットワークのおかげ!重要な通信基盤を支えるよ。


ネットワークエンジニアの主な業務は多岐にわたります。

まず、ビジネス要件や予算に基づいて最適なネットワークアーキテクチャの設計を行います。
これには、適切なネットワーク機器の選定、トポロジーの設計、IP アドレス設計、冗長化構成の検討などが含まれます。
設計が完了すると、実際にルーターやスイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器の設置や構成を行い、LAN/WAN/無線LANなどのネットワークを構築します。

また、構築後はネットワークの監視や障害対応、性能分析とチューニング、セキュリティ対策の実施などの運用業務を担当します。
さらに、ネットワークの拡張や最適化、新技術の導入検討なども重要な職務です。

ネットワークエンジニアには深い専門知識と技術が求められます。
TCP/IPなどの通信プロトコルに関する理解、ルーティングやスイッチングの仕組み、VLANやVPNなどの仮想ネットワーク技術、DNS/DHCP/SNMPなどのネットワークサービス、負荷分散技術などへの精通が必要です。

また、Cisco、Juniper、Huaweiなどの主要ネットワーク機器ベンダーの製品知識や設定方法にも習熟している必要があります。
近年ではSDN(Software-Defined Networking)やSD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)などのソフトウェア定義ネットワーク技術への理解も重要になっています。

ネットワークエンジニアにはネットワークセキュリティの知識も欠かせません。
ファイアウォールやIPS/IDS、WAF(Web Application Firewall)などのセキュリティ機器の設計・構築・運用、アクセス制御の実装、セキュリティポリシーの策定と適用、ネットワークの脆弱性評価などを行うためには、サイバーセキュリティに関する深い理解が必要です。

また、標的型攻撃やDDoS攻撃、ランサムウェアなどの最新の脅威に対する対策も理解しておく必要があります。

セキュリティエンジニア

セキュリティエンジニアはSEの職種の一つで、企業や組織の情報資産を外部の脅威から守るための専門家です。
サイバー攻撃や不正アクセス、情報漏洩などのセキュリティリスクから組織を保護し、ビジネスの継続性と信頼性を確保する重要な役割を担っています。

サイバー攻撃は怖いよね。幅広いIT技術の知識を活かして、システムを外部の脅威から守ります。


セキュリティエンジニアの主な業務は多岐にわたります。

まず、組織のセキュリティポリシーや規定の策定に関与し、技術的な観点からの助言を行います。
次に、ネットワークやシステムのセキュリティ設計を担当し、ファイアウォール、IDS/IPS(侵入検知・防止システム)、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)などのセキュリティ機器の導入や設定を行います。

また、システムやアプリケーションの脆弱性スキャン、ペネトレーションテスト(侵入テスト)を実施して、潜在的な弱点を発見し対策します。

日常的な業務としては、セキュリティ監視とインシデント対応があり、SIEM(Security Information and Event Management)などのツールを活用してセキュリティイベントのモニタリングやログ分析を行い、異常を検知した場合には迅速に対処します。

さらに、従業員向けのセキュリティ教育や啓発活動にも携わることがあります。

セキュリティエンジニアには幅広い技術知識が求められます。
オペレーティングシステム、ネットワーク、データベース、Webアプリケーションなどの基本的なIT知識はもちろん、暗号化技術、認証技術、アクセス制御、マルウェア対策など、セキュリティに特化した専門知識も必要です。

また、ハッキング手法やサイバー攻撃の仕組みについての理解も重要であり、「防御者として考えるためには攻撃者の思考を理解する必要がある」という考え方が一般的です。

近年では、クラウドセキュリティやコンテナセキュリティ、IoTセキュリティなど、新たな技術領域に対応するスキルも求められています。

セキュリティエンジニアには技術的なスキルだけでなく、優れた分析力と判断力も不可欠です。
サイバー攻撃が発生した場合、膨大なログやイベントデータの中から関連性を見出し、攻撃の全容を把握する必要があります。

また、検知された脅威の重大性を適切に評価し、対応の優先順位を判断する能力も重要です。
さらに、経営層や他部門に対してセキュリティリスクを分かりやすく説明し、必要な対策を納得させるためのコミュニケーション能力も求められます。

クラウドエンジニア

クラウドエンジニアはSEの職種の一つで、クラウドコンピューティング技術を活用したシステム基盤の設計、構築、運用を専門とする技術者です。
従来のオンプレミス環境からクラウドへの移行を支援し、スケーラビリティや柔軟性に優れたITインフラを提供することでビジネスの俊敏性向上に貢献しています。

最近のシステムでは必須の専門家!クラウドネイティブなシステム設計は任せてよ!


クラウドエンジニアの主な業務は多岐にわたります。

まず、ビジネス要件に基づいてクラウドアーキテクチャの設計を行います。
これには最適なクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の選定、仮想マシンやコンテナの構成、ストレージ設計、ネットワーク設計などが含まれます。

設計後は、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなどのクラウドプラットフォーム上で実際にリソースをプロビジョニングし、構成します。

また、既存のオンプレミスシステムからクラウド環境への移行計画の策定と実行も重要な業務です。
さらに、Infrastructure as Code(IaC)の手法を用いてクラウド環境の自動化や標準化も推進します。

クラウドエンジニアには幅広い技術知識が求められます。
主要クラウドプロバイダー(AWS、Azure、GCPなど)のサービスとアーキテクチャに関する深い理解はもちろん、仮想化技術、コンテナ技術(Docker、Kubernetes)、ネットワーク、ストレージ、セキュリティなど、インフラ全般の知識も必要です。

また、Terraform、CloudFormation、Ansible、Chefなどのインフラ自動化ツールの活用能力や、Python、Bashなどのスクリプト言語のプログラミングスキルも重要です。
クラウドネイティブなアプリケーション開発の概念やマイクロサービスアーキテクチャへの理解も、アプリケーションチームと協働する上で役立ちます。

クラウドエンジニアには技術的なスキル以外にも、ビジネス感覚とコスト意識が求められます。
クラウドサービスは従量課金制が一般的であるため、過剰なリソース割り当てによるコスト増大を防ぎ、ビジネス要件と予算のバランスを取りながら最適な設計を行う必要があります。

また、セキュリティとコンプライアンスへの理解も重要です。
クラウド環境では責任共有モデルが適用されるため、プロバイダーとユーザーそれぞれのセキュリティ責任範囲を理解し、適切なセキュリティ対策を実装する必要があります。

オペレーションエンジニア

SEのオペレーションエンジニアは、ITシステムの安定稼働と効率的な運用を担う重要な専門職です。
主な責務はシステム全体の監視、保守、トラブルシューティングであり、問題が発生した際には迅速に対応して解決策を実装します。

システムが安定して動くのは私たちのおかげ。縁の下の力持ちの運用専門家!


オペレーションエンジニアはシステムの可用性、信頼性、パフォーマンスを最適化するために日々活動しています。
具体的には、サーバー、ネットワーク、データベースなどのインフラストラクチャの管理運用を行い、セキュリティパッチの適用やバックアップ、リカバリー戦略の実装も担当します。

近年のクラウド技術の発展に伴い、オペレーションエンジニアの役割も進化しています。
従来のオンプレミス環境だけでなく、AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドプラットフォームにおける運用スキルも求められるようになりました。

また、Infrastructure as Code(IaC)やコンテナ技術、CI/CDパイプラインの知識も重要になっています。

DevOpsの考え方が広まるにつれ、オペレーションエンジニアは開発チームとより密接に連携するようになりました。
システムの自動化、継続的インテグレーション、継続的デリバリーのプロセス構築に貢献し、組織全体のIT効率化を推進する役割も担っています。

オペレーションエンジニアには技術スキルだけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力も求められます。

障害発生時には冷静に対応し、関係者への状況説明や、再発防止策の立案・実施も重要な職務です。
24時間365日のシステム監視体制の中で、オンコール(待機)対応を行うこともあります。

まとめ

ITの世界で活躍するシステムエンジニアの職種は、技術の進化とともに多様化と専門化が進んでいます。
本記事で紹介したように、各職種の方が固有の専門性と役割を持ちながらも、相互に連携してシステム全体を支えています。

近年のクラウド化やDevOpsの浸透により、従来の境界線は徐々に曖昧になりつつあり、複数の領域にまたがるスキルセットを持つエンジニアの需要も高まっています。
また、本記事では紹介しておりませんが、AI・機械学習やIoTなどの最新技術の台頭により、新たな専門分野がどんどん生まれてきている状況です。

システムエンジニアを目指す方々にとって重要なのは、自分の適性や興味に合った分野を見つけ、その領域での専門性を高めることです。
同時に、技術の変化に対応できる柔軟性と継続的な学習姿勢も欠かせません。

技術革新が続く限り、システムエンジニアの役割も進化し続けます。
本記事が、SEを目指す人やSEのキャリアを考える方々にとって、一助となれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。